鉄道模型のブラシ付きモータ車にはPWMではなく三角波を使うと超低速の制御と静音化が行えると以前のブログで書き、次の試作ではアナログ回路での発振では無くCPUを2個(1つは制御用で、もう1つは三角波発振のためのDAC専用)使ってみることを予定しました。これは試作済みで目論み通りの性能を得ることができました。が、最近のスロットレス(コアレス)モータには相性が悪い。(チビ電との相性は良いことは報告済みですね。)このスロットレスモータの問題を何とかしたいとAIにも相談しながら調べたところ、このモータの制御方法について新しい知見を得ることができ、早速実験してみたところ上手くいった!ので、そこのところを少し報告します。
Standard-SXという安価なコントローラを1台持っていますが、このコントローラ、ブラシ付き及びスロットレス、いずれも超低速からの起動が不得意です。少し話が脱線しますが、電子部品には電気的仕様や外形図、使い方のサンプル等が記述されたデータシートが用意されており、これを元に回路設計を行います。ところが、この模型用のモータについては製造元もはっきりせず、仕様書も見たことがなく、使い方がはっきりしないという問題が・・。制御方法をAIに尋ねたところ、「高周波で、かつ立ち上がりが重要」との答え。この「立ち上がり」がポイントでした。
Standard-SXの出力波形です。

以前、分解して調べたことがありますが、出力素子はMOSFETだったと思います。ところが綺麗な方形波になっていません。原因はこれか? ということで、早速回路を組んで実験。東芝のモータドライバICを使ってPWMで動かして見ました。しかし、連続したPWMでは起動が早い。(いわゆるロケットスタートに近い。)そこで、三角波で制御したときのプログラムを改良して歯抜けなPWM(PWM-休み-PWM-休み)としたところ、微低速からの起動に成功。(当然、常点灯対応です。)スロットレスだけでなく、ブラシ付きモータもこれで微低速からの起動OK! モータによっては若干の音が出ますが、TOMIXのEF210では静かです。

方形波の1つを拡大してみると、

立ち上がりの鋭い綺麗な方形波であることがわかります。この制御方法、少しのモータノイズに我慢すれば、スロットレスと従来のブラシ付き、いずれでもカタツムリが這うような超低速からハイベタ(12Vの完全直流)の高速まで制御することができました。おまけに、モータドライバが使えると正逆反転が電子的に切り替えられるので部品点数も少なくできます。この実験の結果から三角波制御はお蔵入りとし、新たにPWM仕様の制御基板を作ります。