反転フラップ式表示器「パタパタ」を動かしてみた

 ずいぶん前に海老名で開催された小田急のファミリー鉄道展(というイベント名だったと思います)で入手した中古の反転フラップ式の表示器、通称「パタパタ」を動かしてみました。長いこと部屋の片隅においてありましたが不要品の整理のおりに目に入り「動くかな?」と試すことに。フラップを動かしているのは24Vのソレノイドであろうことは過去に見当をつけたことがありましたが、位置検出については未解析だったので部品の品番を調べるとSPRAGUE製のホールセンサでした。

ホールセンサの載ったプリント板

プリント板上の外部から見えるところに1個、見えないところにも1個載っています。上の写真中央にある3ピンの黒いものがそれで、フラップが動くとセンサの右上にある黒い歯車が回転し、歯車に付けられている白い樹脂のアームの先にあるマグネットが移動してセンサの直上に来たときにオンになります。簡単なデータシートは検索してすぐに見つかったので電源に5Vを加えてフラップを手動で動かしてみると反応するところがあるのですが、MOS logicに直結できると書いてあるのに5Vが出てこない。詳細なデータシートが無いかと更に検索したらSPRAGUEの1987年!の全部で225ページもあるデータブックを見つけました。結果はオープンコレクタ出力でした・・・。だから、2個のセンサの出力を1本にまとめていたんですね。これ、面白い使い方をしていて出力はまとめて1本ですが電源は2系統に別れています。わざわざ分けているのだから理由があるだろうと電源を加えて動作を見ているうちに気がつきました。片方のセンサはフラップを回しているドラム(歯車)の原点位置を。もう一方はフラップが1枚送られる度にオンとオフが切り替わります。これを実験する前にフラップを動かすソレノイドに電源(24V)を加えてみたところ、1枚は送れるのですが次の1枚は送れない。??と思いつつ、ソレノイドへの繋ぎを逆の極性にしてみました。

2つのソレノイド

すると、やはり同じように1枚は送れるが次の1枚は送れない。ん?、1枚ずつ極性を反転させればいいの?と試してみたところズバリその通り。1枚送る度にオンとオフが切り替わるセンサーを見ながら駆動する極性を反転させれば良い・・・・。ということまで分かったので、プログラムを書いてマイコン制御で実験。その結果、制御は次の様になりました。

1.原点位置に戻す場合は2つのセンサに給電しておき極性をコントロールして1枚送り、ここで極性確認用のセンサはオフして、(原点位置用センサの)出力を読み込む。原点位置でなければ、再び極性確認用のセンサの電源を入れて1枚送る。原点位置のセンサ出力があるまでこれを繰り返す。

2.必要なフラップを表示させる場合は(原点位置に止めた状態から)極性確認用のセンサへのみ給電しながら必要な回数だけ極性をコントロールしてソレノイドを駆動。

回路図はこちら。

Mcb109-フラップ式行先表示器動作試験回路図

 ソレノイドへの反転が必要な給電はフルブリッジのモータドライバを使えばできるのではないかと気がついて部品を探したところ東芝製のTB6643KQを見つけました。これなら2本の制御入力を使って容易にソレノイドへ加える電源の極性を反転させることができます。上の回路図をブレッドボード上に組み上げたものがこちら。

ブレッドボード上に組んだ実験回路

 最後に動作をご覧頂きましょう。先ずは任意の位置から原点位置へ。この表示器、残念なことに入手時にフラップが抜けているところがあり、海老名から伊勢原がきちんと表示できません。原点のセンサがオンになるまで1枚ずつ送っていきます。

 そして次は原点位置から予め設定した位置へ。これは、原点位置から何枚(何パルス)送るかという設定で動かします。

 wikipediaによるとこの「パタパタ」、反転フラップ式表示器は鉄道駅で現存する物は少ないようで、まもなく鉄道用のものは無くなってしまうものと思います。

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