パワーMOS(IXFH96N15P)の放熱について、実測だけではなく計算してみました。
合計熱抵抗=RthJC+RthCS+RthSA
=0.31+0.21+0.16
=0.68℃/W
RthJC: チャネル~ケース間 RthCS: ケース~放熱器間 RthSA: 放熱器~空気間
RthJCとRthCSはFETのデータシートから。RthSAは放熱器(TDEX3132/100FMF12G)のデータシートから。
RthCSは、絶縁シートを使うと目標値が達成できないので、グリスのみを使います。
許容損失=((TjMAX × ディレーティング)-Tamb )÷ 合計熱抵抗
=((175℃×80%)-40℃)÷0.68℃/W
=147W (FET 1素子での限界値)
Tamb: 周囲温度
放熱器の合計熱抵抗最大値=((TjMAX×ディレーティング)-Tamb)÷許容損失
=((175×80%)-40℃)÷147W
=0.68℃/W
要求される放熱器の熱抵抗=合計熱抵抗-RthJC-RthCS
=0.68-0.31-0.21
=0.16℃/W
147W時のチャネル温度を計算すると
Tj=((RthJC+RthCS+RthSA)×許容損失)+Tamb
= ((0.31℃/W+0.21℃/W+0.16℃/W)×147W)+40℃
=140℃
と計算できます。
先日の実測値から計算すると、サンハヤトのグリスではRthCS=0.23℃/W、秋月のグリスではRthCSが0.17℃/Wと計算できました。上記の計算ではFETのデータシートから0.21℃/Wとしていますから、サンハヤトのグリスではわずかですが性能不足ですね。
(秋月のグリス HY-1で計算すると許容損失が147W→156Wとなります)
参考文献:
(書籍) トランジスタ技術SPECIAL 116号 「はじめての電源回路設計Q&A集」
(WEB) 水谷電機工業 ヒートシンクに関する基礎情報